CESの関連で、中国の話が続きます。
今日、アメリカで「顔認証」技術に対する懸念が高まっているという話を、瀧口範子さんがNewspicksに書き、たくさんのピックを集めています。
この話はもちろんそのとおりで、既存のAIの仕組みでは、これまでに集まっているデータをもとにしてパターンを見つけ出し、それと照合するので、「これまでに集まっているデータ」が勝負を決めます。データそのものがもともと偏っていると、この記事にあるように、正しい解析ができません。
もう一つ、「データの量が多いほうが勝ち」という現実もあります。最近、シリコンバレーのAIカンファレンスに行くと、中国の躍進の話が必ず出ますが、そのパワーの源泉が「データの量」です。
現在AI分野における最前線は深層学習(Deep Learning/DL)で、例えば自動運転技術での障害物の認知の際の画像解析に使われるので、たくさん投資が集まっています。そして、もう一つの大きな画像解析の使い道が「監視カメラ」であります。上記の記事のように、先進国ではいろいろと「懸念」されてしまうので静かにやっていますが、中国では政府が大々的にやり、それに対して誰も懸念表明ができません。それで・・・
大手情報会社IHS MarkitのアナリストJon Cropley氏によると、中国は全世界の監視カメラ市場のうち46%を、データ分析するディープラーニング用サーバーの4分の3を占めているとのこと。
・・・ということになっています。CESでも、中国の顔認証技術ベンチャーや、中国公安当局向けのスマートメガネのベンチャーなど、「中国の顔認証・画像AI」関連のものがたくさん出展しています。
アメリカや日本の感覚で「え・・これは・・」と思ってしまうものでも、中国ではアリです。ただでさえ、中国は政府を挙げてAI研究に力を入れ、需要があるので大量のAI技術者が生まれ、そのレベルもどんどん上がっていると聞きます。そんな中で、顔画像も文句をつけられることなく膨大に集まっていく中国が、少なくとも顔認証で世界のトップになる日も遠くないと思えます。
だからどうすればいいのか、私は回答を持っていないのですが、「中国のソフト/AI技術が世界トップになる」日に、世界はどうなっていくのか、さっぱりわからないのが不安です。
・・・ということで、SVOIによるCESベンチャー探索企画のご案内はこちらです。